AIエネルギー社会の構築
我が国では20世紀以降、石油・天然ガス・石炭・ウランといった枯渇する資源(化石燃料・核燃料)である1次エネルギーを海外から輸入し、発電所や製油所で燃焼させることによって、電気やガソリンなどの2次エネルギーを得てきました。
1kWhの電力(2次エネルギー)を得るために、火力発電や原子力発電では、その2~3倍に相当する燃料(1次エネルギー)を投入する必要があります。
そして投入されたエネルギーの半分以上は利用されない熱として捨てられています。
これに対して、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、電気のつくり方そのものがまったく異なる考え方です。
特に太陽光発電は、降り注ぐ太陽光エネルギーを直接、屋根の上で2次エネルギーである「電気」に変換します。
変換過程でのロスはごくわずかであり、1kWhの電力を生み出すのに必要な1次エネルギー(太陽光)は、ほぼ1kWhです。
火力発電や原子力発電は、化石燃料やウランを掘り出し、大型船舶で日本へ運び込まれています。
さらに原子力発電は、使用済み核燃料の最終処分方法や処分場が未確定のまま、再稼働を進めなければならない状況にあります。
このような日本の電力事情に対して、国民一人ひとりが真剣に向き合う時代に来ています。
これに対して、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、まったく価値の次元が異なるエネルギーです。
自然界にある光や風というエネルギー資源から電力を回収でき、地球に降り注ぐ太陽エネルギーは、枯渇しないフロー型の資源なのです。
よって、本来ある「1次エネルギー供給量」と「再生可能エネルギー供給量」の比率だけを比較する議論は、「化石燃料の貢献度」を過大評価することにつながります。
日本が産業によって生み出したGDPの利益は、その多くが資源採掘国へ流出しているという現実に気づく必要があります。
発電所や変電所から送電線を通ってくる「枯渇性エネルギー」には、送電ロスも発生します。
電気は電線にためることができないエネルギーなのです。
私たちが日常で使う光・熱・動力といったエネルギーにおいて、「電化」が大幅な効率改善をもたらすことは明らかです。
燃料で走る自動車に対して、EV車は太陽エネルギーを大量に蓄えられ、夜間でも住宅へ電力を供給できます。
これは化石燃料依存を大きく減らすエネルギー革命です。
世界の歴史を見ても、エネルギー産出国が関係する紛争は終結しにくい傾向があります。
世界の海運産業の約5割を占める化石燃料輸送が減少すれば、物流構造も大きく変化するでしょう。
「真のオール電化住宅」とは
① 太陽光発電(PV)
どこにいても発電ができる「自給自足の神器」。燃料費がなくなり、クリーンなエネルギーは健康も維持でき、限りなくコストをゼロにできる究極の分散型エネルギーです。一度屋根に設置すれば、数十年間にわたって電力を生み続けることができます。
② 蓄電池
太陽光発電という、気象の影響を受ける変動性エネルギーの「時間的な制約」から逃れられる、普遍性の高い基幹技術です。昼間に発電した電気を大量に蓄え、発電できない夜の電気に充当します。DR(ディマンドリスポンス)社会を実装させ、電力系統の周波数をも安定させます。
③ 電気自動車(EV)
単なる移動手段だけではなく、「移動式蓄電池」としてもその価値は、消防法の設置基準により容量が制限される定置型蓄電池を上回る新たな価値を創生します。V2G(Vehicle-To-Grid)技術の進化によって、EVの電気を電力会社に逆潮流(売り電)することで、電力逼迫時には所有者にもインセンティブがもらえる価値も生まれます。
走行中充電が実装されれば、さらに利用者の拡大普及により、電力の安定化に寄与する新たなエネルギーインフラが充実していきます。
④ ヒートポンプ
ヒートポンプ技術を内蔵した給湯設備のエコキュート、暖房エアコン、乾燥機の革新が、電化に拍車をかける社会がすぐそこまで来ています。従来のガス化=燃焼という手法とは異なり、熱を“つくる”のではなく“移動させる”ことで高効率に熱を得られる技術として、ヒートポンプはエネルギーを熱に変える重要な一役を担う設備になるでしょう。
⑤ デジタル化社会に貢献するAIクラウドHEMS
システム全体を最適化制御することを目的としたエネルギーリソースは、学習能力の高い「AI人工知能」の教育によって進化し、個々の家同士がつながり合うことで、発電所数基分に匹敵する「仮想発電所VPP」を形成します。まさにエネルギーの地産地消こそが、「他国に頼った発電」から「自国発電」社会になるのです。